米国の証券オプション市場

米国の証券オプションとは、米国内の「証券取引所」で取引されているオプションの総称です。

オプションが取引されている米国の証券取引所には、シカゴ・オプション取引所(CBOE)、インターナショナル・セキュリティーズ取引所(ISE)、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、NASDAQなどがあります。

これらの中で、CBOEとISEの2つだけで全体のオプション取引量の7割以上を占めており、両取引所は米国の二大オプション取引所と呼ばれています。

米国の証券オプションは年間41億4千万枚、一日平均で1,642万枚の取引高(2015年実績)があり、世界最大の証券オプション市場となっています。

証券オプションの種類には、個別株を対象とする株式オプション、株価指数などの指数を対象とする指数オプション、上場投資信託(ETF)を対象とするETFオプションなどがあります。

株式オプション (Equity Options)

米国市場の株式オプションは、約3,000の銘柄に対して取引可能です。
インテル、マクドナルド、ディズニー、グーグルといった日本でも有名な企業の株式オプションは、一日に数万~数十万枚以上の取引高があり、非常に活発な取引が行われています。
<米国の証券オプション市場>

株式オプション

Google、ディズニー、Apple、スターバックス、twitter、ウォルマートなど、米国の主要企業の株式を原資産とするオプション。 2016年現在、3,000種類の銘柄が取引されている。 一日のオプション売買高が百万ドルを超える銘柄だけでも300種類以上にのぼる。

指数オプション

S&P 500(SPX)、S&P 100(OEX)、Nasdaq-100(NDX)、Mini-Nasdaq(MNX)、Russell-2000(IWM)、ボラティリティ指数(VIX)など、米国市場の株価指数を対象とするオプション。

ETFオプション

Nasdaq-100連動型上場投信(QQQQ)、S&P 500連動型上場投信(Spyders)、ダウ・ジョーンズ連動型上場投信(DIAMONDS)、Russell-2000連動型上場投信など、米国の主要ETFに対するオプション。
また、MSCIブラジル・インデックス(EWZ) 、FTSE新華チャイナ25インデックス(FXI)といった新興国市場の株価に連動するETFオプション、およびパワー・シェアーズ穀物(DBA)、SPRD金投資(GLD)、米国オイル(USO)などの商品市場に連動するETFオプションも活発に取引されている。

また米国企業の株式だけでなく、最近ではADR(米国預託証券)を対象とするオプションの取引高も増えてきました。 ADRとはニューヨーク銀行に預託された外国企業の株式のことで、投資家は実質的に米国株と同じようにADRを売買することができます。

たとえば、ニューヨーク証券取引所にはトヨタ(TM)、松下(MC)、キヤノン(CAJ)といった日本の大手企業のADRが上場しており、これらを原資産とするオプションも活発に取引されています。
日本企業の株式オプションは、皮肉にも本国の東京市場よりも米国市場での方が多く取引されるという状況になっています。(参考:日本の証券オプション市場

さらにインドのタタ自動車(TTM)、中国の百度(BIDU)、ブラジルのペトロブラス(PBR)といった新興国企業のADRも多数上場しています。 新興国への投資や、新興国企業の株式オプションに興味がある投資家にとっても、米国市場は魅力的な投資環境といえます。

米国の株式オプションは、オンライン証券ブローカー(日本で言うネット証券)を通じて簡単に取引できるため、「オプションをポートフォリオに組み込む」という考え方が一般の投資家の間にも浸透しています。

指数オプション (Index Options)

米国の代表的な指数オプションには、S&P 500オプション(Mini)S&P 100オプションNasdaq 100オプション(Mini)ダウ平均オプション(Mini)VIXオプションなどがあります。

S&P 500オプション(通称SPX)は米国で最も活発に取引されている指数オプションで、 一日に20万枚以上の取引高があります。
また、一般的な株価指数オプションだけでなく、「ボラティリティ指数オプション」のようなユニークなオプションも数多く上場しています。 (参考:投資家心理を指数化したオプション

株式オプションと同様、株価指数オプションは証券ブローカーを通じて簡単に取引できるため、ポートフォリオの分散や株資産のヘッジ(保険)目的としても利用されています。 ただ、株価指数オプションは取引の単位が大きいため、ヘッジファンドなどの機関投資家が取引の中心になっています。

一般の個人投資家は、取引単位が小さいミニ取引(E-mini S&P 500オプションなど)を多く取引する傾向があります。

ETFオプション

米国の上場投資信託(ETF)を対象とするオプションは、Nasdaq-100連動型ETFオプション(QQQQ)S&P-500連動型ETFオプション(SPDR)ダウ平均連動型ETFオプション(DIA)Russell-2000連動型ETFオプション(IWM)などが活発に取引されています。

さらに、米国市場にはセクター別ETFのオプションもあります。
たとえば、米国のエネルギーセクター(石油、ガス、燃料装置・サービス)の株式に連動するETF、金融セクター(銀行、保険、不動産)の株式に連動するETFなどがあり、これらを対象とするオプションも数多く取引されています。

また米国以外の市場に連動するETFも品揃えが豊富です。
iShares エマージング・マーケットETF(EEM)、iShares ブラジル指数(EWZ)、iShares FTSE新華チャイナ25(FXI)などを始めとする新興国市場のETF、および日本やヨーロッパ市場に連動するETFも多数上場されており、これらを対象とするオプションの取引も盛んです。

加えて、商品や不動産といった証券市場以外のマーケットに連動するETFもあります。
Power Shares穀物(DBA)、SPRD金投資(GLD)、米国オイル(USO)といった商品連動のETFは最近特に取引高が増えており、オプションも活発に取引されています。

LEAPS

米国の証券市場では、「LEAPS」と呼ばれるユニークなオプションも取引されています。
これは満期までの期間が9ヵ月から3年という超長期のオプションのことで、投資家は長期的な資産運用ツールとしてこれらのオプションを利用することができます。


近年では日本からのオンライントレードも増えており、米国市場の株式やETFをを保有しながらカバード・コールを売ったり、LEAPSを投資ポートフォリオに組み込むといったことも珍しくなくなっています。