モデル・フリー・インプライド・ボラティリティ(MFIV)の研究
オプションのインプライド・ボラティリティ(IV)は、古くから「ブラック・ショールズ」という公式を用いて計算されてきました。 しかし近年では、このようなモデル(公式)を用いないIVが研究されています。
公式を用いずに計算されるIVは、「モデル・フリー・インプライド・ボラティリティ(MFIV)」と呼ばれます。
このMFIVに関する最新の研究レポートが、大阪証券取引所の公式サイトにアップされています。(一橋大学経済研究所教授 渡部敏明氏による論文)
→ 大阪証券取引所 論文・研究レポート
なぜそのような研究が行われているかというと、ブラック・ショールズの公式は「ボラティリティが満期まで一定である」という仮定に基いており、時間を通じて変動するボラティリティが考慮されていないという欠点を持つからです。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公開している有名なボラティリティ指数「VIX」も、実はブラック・ショールズ公式を用いずに計算されており、MFIVに該当するようです。
研究レポートによると、このVIXでさえも精度が十分ではなく、理想的には「市場で取引されていない権利行使価格」が無数に存在すると仮定し、積分式を用いて計算することで精度を高めることができると指摘しています。
オプショントレーダーは、レポートに書かれているような難しい数式を理解する必要はありません。 しかし、証券会社の取引ツールやオプション分析ソフトを用いる際に、IVがどのように計算されているかは知っておきたいところです。
標準的なブラック・ショールズのIVなのか、独自モデルで計算したIVか、それともMFIVなのか?
有料のオプション分析ソフトの中には、独自のモデルを用いてIVを計算しているものもあります。(海外ソフトのOptionVueなど)
しかし証券会社に関しては、そういった情報を積極的に公開しているところは少ないと思います。
オプションのIVはトレード戦略やリスク管理にも影響するため、IVの精度はトレーダーにとっては死活問題です。
今後はトレード環境においても、オプションのIVが試行錯誤で改善されていくのではないでしょうか。