バイナリーオプション 欧州で規制強化の動き
バイナリーオプションを規制する動きが欧州各国で広がっています。
昨年8月にはベルギー当局が規制を強化し、FX・CFDの店頭取引とともに、バイナリーオプションの店頭取引を実質的に禁止しました。 ベルギーのクリス・ピータース経済相は、「バイナリーオプションやその他の投機的デリバティブは、ベルギーの小売市場では存在できないということが誰の目にも明らかとなるだろう」と述べ、規制の必要性を強調しています。
(参照:FINANCE MAGNATES 2016/8/14付)
フランスでは、今年から店頭FXやバイナリーオプションの広告をインターネット上に掲載することが禁止されます。 フランスの金融市場を監督するAMF(金融市場庁)は、「フランス国民は過去6年間で、40億ユーロ(約5,000億円)を詐欺的なFX・バイナリーオプション業者に投じた」と述べ、この規制強化を支持しています。
(参照:FINANCE MAGNATES 2016/8/1付、 2016/11/9付)
加えて、オランダ、ドイツ、デンマークにおいても、バイナリーオプションの規制を強化する動きが進んでいます。 欧州の規制当局は、すでにバイナリーオプションを投資対象としてではなく、オンラインカジノと同等の「賭博」と見なすようになっています。
(参照:THE TIMES OF ISRAEL 2016/10/2付)
イスラエルは、バイナリーオプションの規制に対してユニークな対応を取っています。 イスラエル当局はバイナリーオプション業者が「イスラエル国内で活動すること」を禁じる一方で、同国の業者が「イスラエル国外で活動すること」は禁止していません。 しかし、欧州の規制当局はこの状況に異議を唱え、イスラエルに対して規制強化を迫っています。
(参照:SMN WEEKLY 2017/2/6付)
米国では「NADEX」ならびに「Cantor Exchange」が規制当局の管理下にあり、それ以外のブローカーはバイナリーオプションの店頭取引を扱うことが許可されていません。(ただ、実際には米国外を拠点とするいくつかのブローカーが米国でサービスを提供しています。)
当サイトでは5年以上前からバイナリーオプション取引の問題点を指摘してきました。 こうした問題の多い商品を規制する動きが欧州を中心に広がっていることは、健全なオプション市場の発展のためにプラスとなるでしょう。
本来、バイナリーオプション自体は悪い物ではありません。 CMEグループ等の取引所に上場し、オープンな市場において投資家間で売買されるバイナリーオプションは、投資やヘッジの選択肢を広げる可能性を持つものです。 その一方で、ここで取り上げている「相対取引のバイナリーオプション」は、その特性上、業者にとって有利な条件が設定されたり、透明性が確保されないといった問題が常につきまといます。
日本では、金融庁によるバイナリーオプション規制が2013年11月に施行され、口座開設や取引時間などに一定の制約が課されるようになりました。 しかし、インターネット上には射幸心を煽る広告や「まとめブログ」などが溢れており、投資初心者を食い物にするような構造が依然として存在します。
(参照:国民生活センター)
今後は日本でもオンライン上のバイナリーオプション広告を禁止するなど、より一層の規制強化が必要と考えられます。