東証の有価証券オプション、28日の取引は振るわず

28日に取引された東証の有価証券オプション(かぶオプ)は、全銘柄を合わせて212枚となり、これまでに比べて大きな変化はありませんでした。

28日は、カブドットコム証券が国内の大手ネット証券で初めて株式オプションのオンライン取引を開始したため、市場の動向が注目されていました。
しかしオプションの新規売りが制限されていることや、連休前の様子見ムードもあり、投資家の関心はあまり集まらなかったようです。

今週からインタラクティブ・ブローカーズ社も有価証券オプションの取扱いを開始したものの、国内のネット証券大手で対応しているのは現在のところカブドットコム証券のみ。 今年6月からはSBI証券と岡三オンライン証券が参入予定ですが、株式オプションが問題なく取引できる市場になるのはまだしばらく先になりそうです。

(編集人所感)

実際の板情報を見たかぎりでは、各銘柄のマーケットメイク対象がATM近辺の3本に限られているのが厳しいと思いました。 株式オプションのカバード・コール売りやネイキッド・プット売りなどの戦略では、株価の現在値から離れた権利行使価格のオプションを取引したい場合も多いのですが、現状ではマーケットメイクが無ければ取引は難しいです。(それ以前に、カブドットコム証券ではオプションの新規売りができないため、どうにもならないです。)

またマーケットメイクがされているオプションでも、スプレッド(売値と買値の開き)が大きいため、ある程度のスリッページ(売買コスト)を覚悟しないと取引できない状況です。 これについては一般の市場参加者が増え、マーケットの流動性に厚みが出てこなければ根本的には解決しない問題だと思います。

まだオンライン取引が始まったばかりですが、オンライン取引への対応が市場の活性化に即つながるわけではありません。
国内の「商品先物オプション」はオンライン取引に対応しており、かつては取引に対応した会社も数社あったのですが、結局市場が活性化することなく現在に至っています。

日本の株式オプションがオンラインで取引できるようになったのは大きな前進です。 しかし投資家にとって価値ある市場になるかどうかは、これからが正念場ではないでしょうか。

参照: 東証 有価証券オプションの相場表