2008年 - 米国の先物・オプション市場の取引状況

  • CMEグループの年間取引高、前年比4%の増加

米国最大の先物・オプション取引所、CMEグループにおける2008年の先物・オプション取引高は前年比4%増の33億枚に上り、過去最高を記録しました。
一日平均では、約1,300万枚の取引高となっています。

  • ICE Futures USの年間取引高、前年比51%の大幅増

コーヒー、ココア、砂糖などの先物・オプション取引を扱うインターコンチネンタル取引所(ICE)では、2008年の取引高が前年比51%増となる8,100万枚に達し、こちらも過去最高の取引高となりました。

  • 株価指数の「ミニ取引」が拡大

株価指数先物・オプションの取引において、通常の取引よりも売買単位が小さく設定されている「ミニ取引」が人気を集めています。 CMEグループが提供しているミニ取引(E-mini)は、前年比37%増の取引高を記録しました。

米国市場で取引されている株価指数先物・オプションのミニ取引には、S&P 500指数、ダウ平均、Nasdaq 100、Russell 2000などがあり、個人投資家による活発な売買が行われています。
日本のミニ取引では、大証の「日経225mini」という市場がありますが、こちらも2008年の取引高が過去最高を記録しています。

ミニ取引の普及によって、個人投資家が積極的に先物市場で取引できるようになったことは、日米に共通する流れといえます。

  • 電子取引への過渡期

米国の先物・オプション市場では、伝統のオープン・アウトクライ方式(フロアで身振り・手振りを交わしながら行う取引)に代わって、電子市場での売買がメインになりつつあります。

CMEグループが運営する電子取引所「Globex」では、2008年の電子取引高は一日平均で1,030万枚(前年比12%増)となり、すでに全取引の79%を占めるようになっています。
またICE Futures U.S.(NYBOT)では、2008年3月から全ての先物取引が電子市場でのみ売買されるようになり、フロア上の取引は廃止されました。

今後も電子取引はますます拡がり、いずれは全ての取引が電子市場で行われるようになると思います。

  • 取引所の再編が進み、二大取引所に集約

CMEグループによるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の買収が2008年8月に完了し、NYMEXが正式にCMEグループに統合されました。

NYMEXがCMEグループに統合されたことで、米国の主要な先物・オプション市場はCMEグループ(旧CME、CBOT、NYMEX)とICE(旧NYBOT)の二大勢力に集約されたことになります。

  • 2009年の展望

サブプライム問題に端を発した金融危機は、株式市場から商品市場(先物市場)への大規模なマネー流入をもたらし、商品市場のバブルを生み出しました。 しかし、リーマン・ブラザーズの破綻によって金融市場が崩壊すると、投機マネーは商品市場からも一気に流出しました。

結果として、2008年の先物市場は、まさに歴史的な「ジェットコースター相場」ともいえる様相を呈しました。

2000年以降続いていた先物市場の活況は、2008年の夏にピークとなり、その後は減少に転じています。
CMEグループの11月~12月の取引高は、ピーク時に比べると30%以上の減少となり、リスク資産からのマネーの逃避が鮮明になっています。

原油や穀物市場でバブルを生じさせたビッグプレーヤー(機関投資家)が相次いで撤退しており、今年の取引高は前年を下回ることが予想されます。
ただ、E-mini市場(株価指数のミニ取引)では、先物・オプションの取引高が11月以降も伸びており、個人投資家を中心とした小規模な取引が盛り上がりを見せています。

現在の先物市場は、個人が中心となって取引を行う本来の姿に戻りつつあります。 しかし、商品市場の長期的なファンダメンタルズは、依然として強気の材料が多く揃っています。 経済危機の影響で、すでに資源国の開発投資が延期や中止に追い込まれており、中長期的には深刻な供給不足が引き起こされる可能性もあります。 そのときには、再びビッグプレーヤーが市場に参入し、先物相場を乱高下させることも予想されます。

参照: CMEグループ プレスリリース
ICE Futures US プレスリリース