東証の証券オプション取引、新システム稼動後も伸び悩む

東京証券取引所(東証)は10月5日より、オプション取引の新システム「Tdex+システム」の稼動をスタートし、合わせてマーケットメイカー制度も導入しましたが、目標とする株式オプションの取引は依然として低い水準にとどまっています。

新システムが始まった週には、コールとプットを合わせて19,193枚のオプションが取引されましたが、その後は徐々に取引高が減少。 11月9日~13日の週では6,031枚まで落ち込み、一日平均では千枚ほどの取引高になっています。

2008年の東証の証券オプション取引高は、一日平均で360枚であったため、昨年の水準に比べると増加しているのは確かです。 ただ、市場として機能するレベルの流動性にはほど遠く、本格的な取引の普及には至っていないのが現状といえます。

マーケットメイカーの導入により取引しやすい環境ができたとしても、国内のネット証券会社が取引に対応していなければ、肝心の投資家が集まってきません。 結果として、取引が日経225オプションに一極集中してしまうという構図が変わらないことになります。

ベースとなる株式市場の売買が低迷しているなか、オプションの市場環境は一層厳しい状況といえます。 しかし、海外のオプション市場では日々活発な取引が行われていることを考慮すると、日本の市場は投資家のニーズに応えられていないだけかもしれません。

いずれにしても、オプションの本格普及に向けた東証の取り組みは始まったばかりなので、ネット証券会社の対応なども含めて、今後の発展に期待したいです。