2007年 - 米国の先物・オプション市場の取引状況
- CMEグループの年間取引高、前年比28%の増加
米国最大の先物・オプション取引所、CMEグループにおける2007年の先物・オプション取引高は合計で約28億枚に上り、前年比28%の増加となり過去最高を記録しました。 オプション単独では、一日平均で約200万枚(前年比14%増)の取引高があり、こちらも過去最高を記録しています。
- NYMEXの年間取引高、前年比29%の増加
原油先物などが取引されているニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、先物・オプションの一日平均取引高が前年比29%増の140万枚となり、過去最高の取引高を更新。 オプション単独では、一日平均で約30万枚(前年比29%増)の取引高があり、同じく過去最高を記録しました。
- ICE Futures USの年間取引高、前年比22%の増加
コーヒー、ココア、砂糖などの先物・オプション取引を扱うインターコンチネンタル取引所(ICE)では、2007年の取引高が前年比22%増となる5,360万枚に達し、こちらも過去最高の取引高となりました。
- 電子取引のシェアがさらに増加
米国の先物・オプション市場では、伝統のオープン・アウトクライ方式(フロアで怒号を交わしながら行う取引)に代わり、電子取引による売買が急速に広がっています。
CMEグループが運営する電子取引所「Globex」では、2007年の取引高が前年比41%増となり、一日平均では約850万枚の取引がありました。 オプション単独では一日平均で約29万枚の取引があり、こちらは前年比46%の増加となりました。 現在、CMEでは全体の77%が電子取引による取引高となっています。
またNYMEXの電子市場がGlobexに統合されたことにより、原油や金などの先物・オプション取引がGlobexで活発に取引されるようになりました。 2007年のGlobexにおけるエネルギー市場および金属市場の取引は、一日平均で75万7,000枚に上り、前年の約3倍の取引高を記録しています。
- 取引所の再編・統合が進む
シカゴの二大取引所、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ商品取引所(CBOT)が2007年7月に合併し、「CMEグループ」という米国最大の取引所が誕生しました。 CMEグループは、まず2008年初めに電子取引の統合を行い、2008年の第二4半期までにフロア取引の統合を完了する予定です。
また、ソフト商品の先物・オプション取引を扱うニューヨーク商品取引所(NYBOT)がインターコンチネンタル取引所(ICE)の完全子会社となり、2007年9月より「ICE Futures US」に名称変更しました。 ICEは2008年3月以降、先物のフロア取引を廃止し、電子取引に一本化することを決定しています。
- 2008年の展望
商品市場では歴史的な上昇トレンドが継続しており、投機マネーの流入が追い風となって活発な取引が続いています。 そこへ米国のサブプライム問題が起こり、株式市場から商品市場(先物市場)への資金流入が一気に加速しました。 サブプライム問題が収束するまでは、ハイリスクな株式市場はできるだけ避け、商品市場に投資した方が良い、というのが最近の流れです。
そんな中、世界的にも透明性が高いと言われている米国の先物・オプション市場は多くの投資家にとって魅力的な存在になっています。 米国の投資家だけでなく、海外の政府系ファンドや年金運用ファンド、または個人トレーダーに至るまで多様な参加者が取引しています。
この流れをさらに加速させているのが、先物・オプション市場の電子化です。
米国市場では、すでに多くの商品がほぼ24時間営業で取引可能になっています。 世界のどこにいても時差を気にせず、安価な手数料で米国の先物・オプションを自由に取引できるようになったことは、海外投資家にとって大きな魅力といえます。
世界的な資源需要の増加、インフレ対策の投資需要、株式市場からの資金流入、取引の利便性などを考慮すると、米国の先物・オプション市場の活況は2008年も続くことが予想されます。