米国市場、4つのボラティリティ指数を比較
投資家の恐怖心を示す“CBOEボラティリティ指数(VIX)”は比較的よく知られていますが、米国市場には他にも3つのボラティリティ指数があります。
VIXは米国市場の幅広い銘柄から構成されるS&P 500指数のオプションから算出されます。 そのため、「マーケット全体の恐怖心」を示す指標として役立ちます。
これに加えて、ダウ・ジョーンズ工業平均、Nasdaq 100指数、およびRussell 2000指数のオプションから算出されるボラティリティ指数があります。 これらのボラティリティ指数は、それぞれ「米国の主要株に対する恐怖指数」、「ハイテク株に対する恐怖指数」、「小型株に対する恐怖指数」として見ることができます。
以下は、直近1年における4つのボラティリティ指数のチャートです。
S&P 500のボラティリティ指数(VIX)
ダウ平均のボラティリティ指数(VDX)
Nasdaq 100のボラティリティ指数(VXN)
Russell 2000のボラティリティ指数(RVX)
日経225オプションの平均IVが40%を超えた1月22日、VIXは一時的に37.5%の最高値を付けましたが、FRBの緊急利下げによって株価が持ち直したことで、結局31.0%で取引を終えました。
S&P 500に比べて下落率の大きかったNasdaq 100、およびRussell 2000のボラティリティ指数では、同日の取引終了時点で35%をやや上回る水準になりました。 これは昨年11月の株価下落時とほぼ同水準です。
ダウ平均のボラティリティ指数も急激な上昇は無く、昨年のピークよりも低い28%程度の水準で取引を終えています。
先週は異例の緊急利下げが精神安定剤となり、投資家の恐怖心がピーク水準の手前で抑えられた格好です。 しかし2001年の景気後退局面では、S&P 500のボラティリティ指数(VIX)が43%、さらにITバブル崩壊の直撃を受けたNasdaq 100のボラティリティ指数(VXN)は80%以上まで上昇しています。
投資家の恐怖心という観点で見ると、米国のベア相場が底を打ったとはまだ言い難い状況です。 今後米国の金融不安が長引き、利用できる精神安定剤が尽きてしまった場合には、恐怖指数が「本当のピーク水準」に達する可能性も考えられます。