CME、システムアップグレードで取引速度を大幅改善
CMEグループは9日、シカゴ商品取引所(CBOT)との合併に伴うシステムアップグレードにより、同取引所が運営する電子取引プラットフォーム「Globex」における取引の応答時間を現行の50%程度まで短縮できると発表しました。
応答時間とは、取引所が注文を受けてから取引完了までに掛かる時間のことで、現行のGlobexでは約31ミリ秒となっています。 先物・オプション取引所としてはすでに世界最高水準の応答時間ですが、今月中にさらに16.5ミリ秒まで短縮となる予定です。
東京証券取引所では約2秒(2,000ミリ秒)の応答時間となっているため、アップグレード後のGlobexは東証より約120倍も取引時間が速くなる計算です。
実際にGlobexの商品(米国の先物・先物オプションなど)を取引していて感じることは、「注文の約定がとにかく早い!」ということです。 成り行き注文などの場合、注文のクリックとほぼ同時と思えるくらい、即座に売買が執行されます。 日本からシカゴの取引所にアクセスしているにも関わらず、注文を出してから取引完了までの時間は国内の株式トレードよりも早く感じます。
東証は来年導入の新システムにより、応答速度を40ミリ秒まで縮める予定です。 しかしそれでも、Globexの2倍以上の取引時間が掛かることになります。 Globexはあくまで「先物・オプション取引所」であり、証券取引所ではありません。 世界のトップレベルの証券取引所はさらに速く、例えばNYSE Euronextでは約3ミリ秒、ロンドン証取では10ミリ秒の応答時間で取引が執行されます。
機関投資家などが用いるプログラム売買、特に短期トレードのシステムでは、取引所の応答時間によってパフォーマンスが大きく左右されます。 取引時間の遅さという問題は、外国人投資家が日本市場を敬遠する理由の一つかもしれません。