誰が、どのオプションを取引しているのか? という調査結果
オプション市場では、一体どんなトレーダーが、どのように取引を行っているのか? この疑問に対する答えが、最近の調査結果で示されました。
米イリノイ大学の教授らが作成した「Option Market Activity」というレポートでは、1990年から2001年までの12年間にシカゴ・オプション取引所(CBOE)で取引されたオプションについて、詳細なデータが紹介されています。
レポートによると、取引されたオプションのうち80%がコール・オプション、残りの20%がプット・オプションとなっています。
オプションの売り手については、ヘッジファンドなどの機関投資家が70%のコール・オプション(カバード・コール含む)を売っていることが示されています。
また、オプションの取引方法に関して、興味深い結論が書かれています。
それは、「オプションのハウツー本などで紹介されている複雑な戦略は、実際の市場ではほとんど使われていない」というものです。
レポートでは、
“ストラングル、ストラドル、バタフライといったオプション戦略は、それがヘッジ目的であれ投機目的であれ、全体の取引から見ればごく一部にすぎない”
という事実が指摘されています。
これは、実際にオプションを取引しているトレーダーにとっては、よく理解できる調査結果だと思います。
オプション戦略やスプレッドの組み合わせについて、トレーダーの間では活発に議論が交わされます。 しかし、現実の取引となると、話は別です。
実際には、コールかプットを買う、または売るというシンプルな取引が多いと思います。 または、それにヘッジのオプションを組み合わせることもありますが、「バタフライ」のような戦略を用いることはほとんどありません。
オプションはいくらでも複雑に取引することが可能ですが、複雑な戦略が必ずしも利益を生むわけではありません。 この点が、オプションの「研究家」と現実の「トレーダー」を隔てており、そのギャップが調査結果に示されているのかもしれません。
統計のデータ自体は古いものですが、機関投資家などの大口投資家でさえ、基本的にはシンプルにオプションを取引しているという事実は、考慮に値するのではないでしょうか。