日米のボラティリティ指数を比較
歴史的な暴落市場となった10月。 ここでは、日本とアメリカの"ボラティリティ指数(※)"を比較し、市場における投資家心理の推移を見てみたいと思います。
※ ボラティリティ指数とは?
<日米のボラティリティ指数>
10月6日、VIXは史上初めて50を突破。 過去30年間のピーク水準を大幅に上回りました。 その後も株価の下落が止まらず、投資家心理の悪化とともにVIXも上昇を続け、10月27日の終値では80まで上昇しました。
この間、日経225オプションのIVは、VIXにほぼ連動する形で推移しています。 これは、株式市場の相関性を考えると自然な流れといえます。
しかし、10月28日から月末にかけては、VIXと日経225IVの間で乖離が見られるようになりました。 特徴的なのは、米国市場では株価の反発とともにVIXが下落したのに対して、日本市場では株価が上昇してもオプションのボラティリティがほとんど下がらなかったことです。
それが顕著なのは、日経平均株価が818円上昇した10月30日。 株価の上昇にも関わらず、日経225オプションの平均IVは前日より6.6ポイントも上昇しました。 このような動きは、過去に例がありません。
その翌日には、株価の大幅反落とともにIVがさらに上昇し、91.6ポイントの最高値を記録しました。 もはや相場の上げ下げに関わらず、株価の乱高下そのものにIVが反応している状態といえます。
一方、米国市場では、株価の反発とともにVIXも素直に下落しています。
こういった日米の"ボラティリティ指数"の乖離がいつまで続くかは分かりませんが、日本の株式市場が海外投資家の影響を強く受けていることを考えると、まずはVIXや海外市場が安定するのが先で、その後で日経225のIVも少しずつ下落に向かうと予想できます。
通常、ボラティリティ指数というのは、「市場の弱気のピーク」を計るために使用されます。 しかし、すでに異常が常態化している現在では、逆に「市場の沈静化」を判断するためのツールとしてのみ、利用価値があると思います。
たとえば、市場の混乱が収まるまで取引を見送りたいと考えている投資家は、ボラティリティ指数の40ポイント付近を一つの目安にすることができます。
ただ、当面はボラティリティ自体の変動も激しくなることが予想されるので、ある程度ボラティリティが下落した後には、反発によって大幅なボラティリティの上昇も起きやすくなります。
いずれにしても、市場が沈静化するのはまだまだ先のことになると思います。